はじめに
サラリーマンが会社を買うという選択肢は、起業することと同様に魅力的なものです。自分のビジョンや理念を実現し、経営に携わることができます。しかしながら、会社を買うには多額の資金が必要であり、デメリットも存在します。本記事では、サラリーマンが会社を買うことのメリット・デメリットや手順について解説します。サラリーマンが会社を買うことにより、自分の経営理念に合致した事業を継続的に運営していくことができる一方で、多額の資金が必要であったり、既存の社員や顧客との関係性を維持する必要があったり、事業承継に関する法的な問題があるというデメリットも存在します。会社の買い方や手順をしっかりと把握した上で、判断することが大切です。
会社を買うという選択肢
会社を買うという選択肢は、サラリーマンにとっても一つの選択肢となっています。一般的には、自分でビジネスを起こすことが起業とされていますが、既にビジネスモデルが確立している会社を買うことも一つの起業方法と言えます。会社を買うことで、起業に必要なリソースを獲得でき、リスクを抑えることができます。また、自分自身が興味のある業種や分野の会社を買うことで、自分の夢や目標を実現することも可能です。ただし、会社を買うには多額の資金が必要であり、リスクも存在します。そのため、会社を買うことを検討する前に、しっかりとリサーチし、自分自身がそのリスクに対してどの程度の覚悟を持っているかを再確認することが重要です。
サラリーマンが会社を買う意義
サラリーマンが会社を買うことには、以下のような意義があります。
まず、既存のビジネスモデルを持っているため、事業を継続しやすくなります。新規事業を始める場合と比べ、既に確立された事業を引き継げるため、安定した収益を期待できます。また、社員も既存の組織に所属しているため、事業の堅実性が高くなります。
さらに、自分の経営理念に合わせて、事業を改善できる点があります。新規事業を始める場合と比べ、既存の事業を引き継ぐことで、より自分の理念や価値観に合った経営を行うことができます。これにより、社員や顧客との信頼関係を築くことができ、事業の発展に繋がります。
一方、起業する場合と比較して、リスクを減らすことができます。既存のビジネスモデルが確立されているため、新規事業を始める場合のように事業の成功が不確定な場合よりも、安定した収益を期待できる傾向があります。
以上のように、サラリーマンが会社を買うことには、事業の継続性や自己実現、リスク低減などの意義があります。ただし、多額の資金が必要であり、既存の社員や顧客との関係性を維持する必要がある等、デメリットも存在します。しっかりと情報収集し、リスクを最小限に抑えながら会社を買うことが大切です。
メリット
既存のビジネスモデルを持っているため、事業を継続しやすい
既存のビジネスモデルを持っている会社を買うことには、事業を継続しやすいという大きなメリットがあります。既に確立されたビジネスモデルがあるため、新規に起業する場合に比べ、事業の立ち上げからビジネスモデルの確立までの時間を大幅に削減することができます。
また、既存の顧客や取引先との関係性も維持しやすくなります。新規事業を起こす場合は、顧客や取引先を獲得するために多大な努力が必要ですが、既存の顧客や取引先がある会社を買う場合は、その関係性を引き継いで事業を継続できます。これにより、事業の安定性や信頼性が向上し、新規事業に比べるとリスクも低くなります。
社員のモチベーションが高く、事業の堅実性が高い
会社を買う際に、既存の社員を引き継ぐことができるため、そのまま事業を継続することができます。この点で、新規に起業する場合と比べて、社員のモチベーションが高いことがメリットとなります。なぜなら、社員はその会社を長年支えてきたため、会社を買った新しいオーナーに対しても、将来性や成長に期待を持っているからです。
また、既存の社員には、事業について十分な知識や経験がある場合が多く、買収後もスムーズな事業運営が可能です。このことから、事業の堅実性が高いと言えます。さらに、オーナー自身も現場に入り込んで、社員と一緒に仕事をすることで、現状把握や改善点の発見ができるため、事業の改善につなげることができます。
社員のモチベーションを維持するためには、オーナー自身が常に意欲的であることが必要です。特に、買収後に社員の雰囲気が悪化してしまう場合は、事業の継続に影響を与えかねません。そのため、買収前に社員とのコミュニケーションを深め、買収後も社員を大切にすることが大切です。
以上のように、会社を買うことで既存の社員のモチベーションを高く維持し、事業の堅実性を高めることができます。
自分の経営理念に合わせて、事業を改善できる
会社を買うという選択肢の中には、自分の経営理念に合わせて、事業を改善することができるメリットがあります。自分が本当に大切にしている価値観をビジネスに反映させることで、会社の成長や社員のモチベーション向上につながる可能性が高くなるのです。例えば、社会貢献を大切にする経営者ならば、社会貢献に関する事業を新たに立ち上げたり、既存の事業に社会的責任を持たせるような改善を行うことができます。
また、自分の経営理念に合わせた改善を行うことで、競合他社との差別化を図ることもできます。例えば、環境に優しい製品やサービスを提供することで、環境問題に関心のある顧客からの支持を得られるようになるでしょう。
しかし、自分の経営理念に合わせた改善を行うためには、十分な情報収集や市場分析が必要です。また、社員や顧客とのコミュニケーションを密に取り、彼らの意見やフィードバックを積極的に取り入れることも重要です。自分だけでなく、周りの人々と協力して改善を進めていくことが成功の鍵となるでしょう。
起業するリスクを減らせる
会社を買うことで、新たに起業する場合に比べて、リスクを減らすことができます。これは既に確立したビジネスモデルを持っているため、会社が持っている顧客や販路、商品やサービスなどを引き継ぐことができるからです。また、社員も既にいるため、新たに採用する場合に比べて、人材の確保や教育にかかる時間やコストを減らすことができます。さらに、会社が持っている資産や知的財産などを引き継ぐこともできます。以上のように、会社を買うことで、新規事業を立ち上げる場合に比べて、リスクを抑えることができます。
ただし、会社を買うということ自体にも、多額のリスクが伴うことを忘れてはなりません。購入する会社の価値評価や、既存社員や顧客との関係性の維持、法的問題など、様々な問題があります。会社を買う場合は、しっかりと情報収集を行い、専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。また、起業リスクを減らすために、会社の買い手として自分自身にも十分なビジネススキルや知識、経験が必要となります。
デメリット
多額の資金が必要
会社を買うには多額の資金が必要です。そのため、資金調達の方法をしっかりと考える必要があります。資金調達の方法には、自己資金、銀行からの融資、投資家からの出資などがあります。自己資金だけで購入することもできますが、リスクを分散するためにも多くの資金を用意することが望ましいです。
また、会社の規模や業界によって必要な資金額は異なります。例えば、中小企業を買う場合でも、数千万円から億単位の資金が必要になることもあります。業界によっては、膨大な資金が必要な場合もあります。
資金調達に関しては、銀行からの融資や投資家からの出資などがありますが、どの方法を選ぶかはリスクや返済計画などを考慮する必要があります。特に、銀行からの融資は返済期間や担保の提供が必要な場合があります。投資家からの出資は、企業価値の評価や出資者との契約内容が大切なポイントとなります。
会社を買うには多額の資金が必要ですが、資金調達の方法を慎重に考えることで、リスクを最小限に抑えることができます。
既存の社員や顧客との関係性を維持する必要がある
会社を買う場合、既存の社員や顧客との関係性を維持することが重要です。社員は、会社買収後も引き続き働くことになります。そのため、新しい経営者による経営方針の変更によって、社員が不安定な状態に陥ることがあります。また、顧客にとっても、経営者の変更によって不安を感じることがあります。これらの不安やストレスが蓄積されると、社員や顧客が離れるリスクが高まります。
そこで、会社買収前に、社員や顧客とのコミュニケーションを積極的に行い、信頼関係を築くことが必要です。会社買収後も、既存の社員や顧客に対しては、丁寧な対応を心がけることが大切です。
また、会社買収後の人事面についても、慎重な判断が必要です。既存の社員が引き続き働く場合には、その能力や適性を見極め、適切なポジションに配置する必要があります。また、新しい人材を採用する場合には、既存の社員との調和を考えた採用が重要となります。
つまり、既存の社員や顧客との関係性を維持することが会社買収の成功につながると言えます。そのためには、事前の情報収集や十分なコミュニケーションが必要です。
事業の価値評価が難しい
会社の買収において、最も重要な部分の1つが事業の価値評価です。しかし、事業の価値を正確に評価することは非常に難しいとされています。その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 事業価値の算出方法が多岐にわたるため、どの方法を使うかによって結果が変わってしまうことがある。
- 事業の運営に関する情報がすべて公開されていないため、正確な評価ができないことがある。
- 将来の経済情勢や市場環境の変化を予測することは困難であり、それが事業価値に大きな影響を与えるため、正確な評価ができないことがある。
そのため、事業価値を正確に評価するためには、専門家による評価が必要となります。また、買収にあたっては、評価額を下回るリスクを考慮して、評価額よりも高い金額での買収を検討することも必要です。
事業承継に関する法的な問題がある
会社を買う場合、事業承継に関する法的な問題があることを忘れてはいけません。既存社員や顧客との関係性を維持する必要があるため、契約書や法律上の手続きの理解が必要です。
まず、契約書には、事業譲渡に関する内容、譲渡価格、負債の引き継ぎなどが明示されている必要があります。また、税務上の問題もあるため、税務署に届け出る必要があります。
さらに、労働法や民法に基づく問題も発生します。たとえば、既存社員の雇用契約には、退職金の支払いや労働条件の継承などが定められています。事業承継後も、これらの条件を守らなければなりません。
また、商慣習に基づく問題もあります。たとえば、顧客との契約内容や仕入先との関係も、引き継ぐ必要があるため、適切な手続きを行う必要があります。
以上のように、会社を買う際には、法律上の問題にも注意する必要があります。専門家のアドバイスを受けたり、契約書の内容をしっかりと確認することが重要です。
会社の買い方・手順
会社の情報収集
会社を買うにあたっては、まず情報収集が必要です。情報収集を通じて、買収対象企業が自分に合っているのかを判断することができます。情報収集の方法としては、以下のようなものが挙げられます。
企業ウェブサイトの閲覧
買収対象企業のウェブサイトを閲覧することで、事業内容や企業理念、社員数、売上高などの情報を入手することができます。
社員へのインタビュー
買収対象企業の社員にインタビューすることで、企業文化や社員のモチベーション、課題などを把握することができます。また、社員からの情報提供は貴重な情報源となります。
競合他社の調査
買収対象企業がどのような市場に存在しているのかを把握するためには、競合他社の調査も必要です。競合他社の動向や市場環境を分析することで、買収対象企業の価値を評価することができます。
財務諸表の確認
買収対象企業の財務諸表を確認することで、企業の経営状況や安定性を把握することができます。また、財務諸表からは企業の将来性や成長性を予測することも可能です。
これらの情報収集方法を活用することで、買収対象企業の事業内容や社員のモチベーション、財務状況などを把握し、買収するかどうかを判断することができます。
事業価値の評価
事業価値の評価は、会社を買う上で非常に重要な要素です。事業価値の評価をすることで、買収価格を適切に設定することができます。
事業価値の評価には、様々な方法がありますが、一般的には以下のような方法が用いられます。
- 営業利益（EBIT）や営業利益率（EBIT率）などの財務指標を用いた方法
- 営業キャッシュフロー（EBITDA）やフリーキャッシュフロー（FCF）などのキャッシュフローを用いた方法
- 企業価値売上高比率（EV/Sales）や企業価値EBITDA比率（EV/EBITDA）などの比率を用いた方法
また、事業価値の評価には、会社の業績や業界動向、将来性なども考慮する必要があります。
事業価値の評価をするには、会計士やファイナンシャルアドバイザーなどの専門家に依頼することもできます。ただし、コストがかかるため、自分自身でも基本的な計算方法や考慮すべき要素を理解し、自己判断することも重要です。
以上のように、事業価値の評価は、会社を買う上で欠かせない要素であり、しっかりと計算し、適切な買収価格を設定することが成功の鍵となります。
資金調達の方法
会社を買うにあたっては多額の資金調達が必要です。資金調達の方法としては、以下のようなものがあります。
自己資金
自分自身の貯蓄や、家族からの援助など自己資金で購入する方法があります。自己資金であれば、返済の必要がないため金利負担もありません。ただし、会社を買うために必要な資金を全て自己資金でまかなうことは、リスクを負うことになるため避けるべきです。
銀行融資
銀行からの融資を利用する方法です。銀行融資は、低金利で長期的に返済することができるため、多額の資金調達に適しています。ただし、融資を受けるためには信用力が必要であり、返済能力や担保の有無などが問われます。
投資家からの出資
投資家からの出資を受ける方法もあります。投資家によっては、経営者として会社を運営することに興味を持ち、出資を提案してくれる場合もあります。ただし、投資家に出資してもらうためには、会社の魅力や将来性などをアピールする必要があります。
M&Aファンドからの出資
M&Aファンドなどによる出資も一つの選択肢です。M&Aファンドは、会社買収に関する専門的なノウハウを持っており、資金面のサポートもしてくれるため、手厚いサポートが期待できます。ただし、M&Aファンドからの出資には、手数料などのコストがかかることもあります。
以上が、会社を買う際に考えられる資金調達の方法です。自己資金だけでは足りない場合は、銀行融資や投資家からの出資、M&Aファンドからの出資などを検討し、適切な方法で資金を調達することが重要です。
契約の締結
会社の買収においては、契約の締結が極めて重要です。契約書は、買収価格、支払方法、買収日程、保証事項、売買代金の管理方法など、様々な項目が含まれます。また、特定の条件に基づいて課せられる罰則規定、紛争解決の方法、契約違反時の対応策なども含まれます。
契約書は、双方の合意に基づいて作成され、法的な拘束力を持つため、必ず専門家のアドバイスを受けることが重要です。専門家には、弁護士や税理士などが含まれます。彼らは、契約書の作成の過程で必要な手続きや法律事項に詳しいため、契約書が公平であることを確認できます。
また、契約書の締結後、買収価格の支払い日程や資産の所有権移転などに関するタイムスケジュールを決定する必要があります。これらは、契約書の詳細な項目によって異なります。買収日程は、売主と買主の両方の事業体に影響を与えるため、遅れが生じた場合、非常に深刻な影響を与える可能性があります。
そのため、契約の締結前には、買収プロセスの詳細なプランニングが必要です。契約書の作成やタイムスケジュールなど、買収プロセスにおいて不確実性が少ないように、十分な準備をして臨むことが重要です。
まとめ
サラリーマンが会社を買うことにはメリット・デメリットがある
サラリーマンが会社を買うことには、メリット・デメリットがあります。
まずは、メリットについて考えてみましょう。会社を買うことで、既にビジネスモデルが確立されているため、事業を継続しやすくなります。また、社員のモチベーションも高く、事業の堅実性が高くなるというメリットもあります。さらに、自分の経営理念に合わせて、事業を改善できるという点も大きなメリットです。また、起業する場合に比べてリスクを減らせるという点もあります。
一方で、デメリットについても考慮する必要があります。例えば、多額の資金が必要になることや、既存の社員や顧客との関係性を維持する必要があることが挙げられます。また、事業の価値評価が難しいため、適切な価格で会社を買うことができるかどうかも課題です。さらに、事業承継に関する法的な問題もあるため、専門家のアドバイスを受ける必要があります。
以上のように、サラリーマンが会社を買うことにはメリット・デメリットがあります。しかし、会社の買い方や手順をしっかりと把握した上で、判断することが大切です。特に、資金調達の方法や契約の締結については、専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。
会社の買い方や手順をしっかりと把握した上で、判断することが大切
会社を買うにあたり、まずは会社の情報収集が必要です。会社の種類や規模、業界動向、財務状況、社員の人数や給与、顧客層など、様々な情報を収集することが重要です。そのためには、ネット上の情報や業界紙、取引先や知人の紹介などを活用することが役立ちます。
次に、会社の事業価値の評価を行う必要があります。事業価値評価とは、会社の資産や負債、収益などを分析し、その会社がどの程度の価値があるかを算出することです。この評価を行う際には、専門家の意見を聞きながら、客観的に判断することが大切です。
また、資金調達の方法についても考える必要があります。自己資金や借入金、投資家からの出資など、様々な方法があります。その中でも、自己資金での買収はリスクが少ないため検討する価値があります。しかし、多額の資金が必要となるため、慎重に計画を立てる必要があります。
最後に、契約の締結を行います。これまでの情報収集や評価をもとに、買収価格や条件を決定し、契約書を作成します。契約書には、取得する株式数、支払い方法、社員の扱い、事業譲渡日など、詳細に取り決める必要があります。また、法律や税務上の問題も発生する可能性があるため、専門家のアドバイスを受けることも重要です。
以上が、会社の買い方や手順についての概要です。会社を買うことにはリスクが伴いますが、事前にしっかりと情報収集や評価を行い、慎重に判断することが必要です。
参考
- M&A市場の現状と動向 今後の展望も解説｜M&Aサクシード｜法人・審査制M&Aマッチングサイト（旧ビズリーチ・サクシード） (出典元: https://ma-succeed.jp/content/knowledge/post-6178)
- サラリーマンが会社を買うには？メリット・デメリット、失敗の原因を解説【個人M&Aで買いたい人必見】 | M&A・事業承継の理解を深める (出典元: https://mastory.jp/サラリーマンが会社を買うには)
- 銀行から融資を受けるときの手順 融資の申し込みの流れを解説 | THE OWNER (出典元: https://the-owner.jp/archives/7464)
